反射防止膜・光学フィルターなど。
反射膜(ミラー、ランプカバーなど)
湿気防止・遮光(ポテトチップスの袋など)
透明電極(タッチパネルなど)
携帯電話などの電子機器、あるいは日用雑貨においても、金属調の光沢を持った意匠をよく見かけます。金属部品を磨いて光沢をもたせたものもありますが、プラスチック部品にメッキを施したものも多くあります。しかし、昨今の環境保護の観点から、大量の化学廃液を発生させる「メッキ」という工法が敬遠されてきています。そして、メッキに替わるものとして、真空蒸着が注目されたのです。蒸着材料としては、普通、アルミニウムが多く使われます。膜厚は0.1μm以下です。プラスチックの表面には細かな凹凸が有り、そのまま金属を蒸着しても光沢が得られません。また、密着も弱く、手で触ると容易に剥がれてしまいます。そこで、まずプラスチックに塗装を施し、表面を滑らかにした後、アルミニウムを蒸着すると、鏡のようなきれいな膜を作ることが出来ます。その後、蒸着膜を保護するために、もう一度透明の塗装を施します。この時、塗料に着色したり、つや消し剤を混ぜて光沢を調整したりすることが出来ます。また、アルミを薄く蒸着すると半透過状態になりますので、透明材へ蒸着してハーフミラーのような効果を出すことが出来ます。
プラスチックの表面(一部または全体)に金属を蒸着して、導電性の膜を作り、電磁波シールド効果をもたせるものです。蒸着材料としてはアルミニウムや、銅が使われます。膜厚は1~2μmくらいです。銅を蒸着する場合は、銅単体では酸化劣化しやすいので、ニッケルや錫、ステンレスなどを銅の保護材として、2層蒸着します。かつては、ノートパソコンや携帯電話のほぼ全てに採用されていたものですが、その後の技術革新により、シールド蒸着の需要はほとんど無くなってしまいました。
真空蒸着とは、真空中で金属や酸化物などを加熱し、気化または昇華させて、目標物の表面に付着させ、冷却・凝固により膜を作ることです。
真空を利用する事によって、物質が気化または昇華する温度を低く抑えることができ、プラスチックのような耐熱性の低い素材への蒸着を可能にしています。
目標物は金属、ガラス、プラスチックなどですが、近年特にプラスチックへの蒸着の需要が増えているように思います。
また、蒸着膜は薄く、耐久性がほとんどないので、もっぱら人の手に触れる箇所への蒸着では、塗装などの手段により、保護コーティングしてあげる必要があります。
真空蒸着の発展形として、イオンプレーティングというものがあります。
これは、わかりやすく言えば、プラズマ雰囲気中で行う真空蒸着です。
通常の真空蒸着に比べ、粒子密度が向上した良質な膜を形成することができます。
また、密着性が向上する場合もあります。
なお、よく蒸着と混同される技術に、「スパッタリング」というものがありますが、
この2つは原理が全く違います。
スパッタリングは、固体の粒子を弾き出し、目標物にぶつけて膜を作る方法です。
蒸着は材料が 固体→気体→固体 と変化するのに対し、スパッタリングは、固体→固体 なのです。