携帯電話などの電子機器、あるいは日用雑貨においても、金属調の光沢を持った意匠をよく見かけます。金属部品を磨いて光沢をもたせたものもありますが、プラスチック部品にメッキを施したものも多くあります。しかし、昨今の環境保護の観点から、大量の化学廃液を発生させる「メッキ」という工法が敬遠されてきています。そして、メッキに替わるものとして、真空蒸着が注目されたのです。蒸着材料としては、普通、アルミニウムが多く使われます。膜厚は0.1μm以下です。プラスチックの表面には細かな凹凸が有り、そのまま金属を蒸着しても光沢が得られません。また、密着も弱く、手で触ると容易に剥がれてしまいます。そこで、まずプラスチックに塗装を施し、表面を滑らかにした後、アルミニウムを蒸着すると、鏡のようなきれいな膜を作ることが出来ます。その後、蒸着膜を保護するために、もう一度透明の塗装を施します。この時、塗料に着色したり、つや消し剤を混ぜて光沢を調整したりすることが出来ます。また、アルミを薄く蒸着すると半透過状態になりますので、透明材へ蒸着してハーフミラーのような効果を出すことが出来ます。